「美術犬(I.N.U.)」第三回企画概要
「美術犬(I.N.U.)」 第三回企画
シンポジウム「批評」
企画概要
■開催趣旨
「美術批評」の衰退。このような噂がささやかれ始めたのは、そう最近からのことではありませんが、かといって衰退が解消されたという噂も聞こえてはきません。この衰退とは、現状認識としては妥当な判断であると言えるかもしれません。アカデミズムへの制度的な回収と、インターネット上における「感想」の、その総体としての圧倒的な物量と即時性とのはざまで、旧来的な批評言語が機能不全に陥っているのは事実でしょう。それは、批評言語の下部構造を担っていた「雑誌」という紙メディアの相次ぐ休・廃刊が端的に示すように、非アカデミズム的な高級文化としての(そのあまりにも日本的な)「文芸」一般がもつ訴求力の低下とも、軌を一にするものであると考えられます。また、「批評」がしばしば、マイナー言語である「日本語」を暗に前提にすることによって、言語的グローバリゼーションへと向かう現況に逆行するものであるということも、その理由かもしれません。さらには、批評言語が同時代的なムーブメント(あるいはマーケット)を形成することが成立しづらくなっていることも、無視できないでしょう。そして、そもそも今日、誰が「批評」を読むのか、また、誰に向かって「批評」を投げかけるのか……。
しかし、「批評」を必要とする声が全くないわけではありません。それどころか、水面下では、美術における「批評」を必要とする声すらも、しばしば聞こえてきます。この現実と期待との落差は何を意味するのでしょうか? 美術とその言説について考える運動体である「美術犬(I.N.U.)」は、広義の「批評」性を、その問題意識としてきましたが、いまこそ「批評」性一般ではなく、「美術批評」そのものを問題にすべき時期が到来していると痛感しています。
もし仮に、「美術批評」が衰退期にあるならば、今行うべきことは、新たなる批評言語を猛り狂わせることかもしれません。そのためには、複数の批評言語が乱反射するための基底面(フィールド)を、まずは用意すべきだと考えます。シンポジウム「批評」は、美術評論家を称する、あるいは美術評論家としばしば目される、尖鋭的な文筆家たちが一堂に会する場を設定することで、美術とその言説を切り開く、そして、美術批評の新たな可能性を模索するための、闘技場(アリーナ)を創出することを目論むものです。
■開催要項
「美術犬(I.N.U.)」 第三回企画 シンポジウム「批評」
日時:2009年10月24日(土)14:00 〜 17:00
会場:BankART Studio NYK 1F BankART Mini gallery
主催:美術犬(I.N.U.)
協力:BakART 1929
パネリスト:粟田大輔
沢山遼
土屋誠一
司会: 雨宮庸介
入場料:500円(予約不要)
アクセス:BankART Studio NYK
〒231-0002横浜市中区海岸通3-9
横浜みなとみらい線「馬車道駅」6出口
赤レンガ倉庫口徒歩約5分
■「美術犬(I.N.U.)」について:
「美術犬(I.N.U.)」は、美術とその言説について考えることを目的とし、作家・批評家らによって結成されたゆるやかな運動体です。この運動体は、固定的なメンバーがイニシアティヴを掌握するのではなく、都度の企画に応じて流動的なメンバー構成で、活動を行っていくものです。これは、対話による合意を生産するのではなく、より多数の人々と討議を交わし、摩擦係数の高い言説空間の出現を目論むためです。
現代の私たちは、文字通り「犬」的な時空間、すなわち「ドッグイヤー」の激流のただ中に生きています。ではそこで、美術の「犬」は、吠えるのか? 噛み付くのか? 嗅ぎ回るのか? あるいは撫でられるのか? 即座に具体的なアクションを起こさなければなりません。閉塞的な美術についての言説空間を活性化させ、より立体的に美術について考える事を目的に、シンポジウム・講演・対談・インタビュー・ウェブ上での活動、など、多角的な活動を行っていく予定です。
(現メンバー:青山悟、雨宮庸介、佐藤純也、土屋誠一(五十音順))
■予告
「美術犬(I.N.U.)」第四回企画「美術・社会・革命」
日時:12月27日(日)
※詳細は追って美術犬(I.N.U.)ウェブサイトにてお知らせいたします
